
■禅宗様の特徴をよく現している最恩寺本殿
22日はせっかく天気が良かったので、中日を過ぎてしまったが、
田舎に帰ってご先祖様達のお墓参りをすることにした。
「六波羅蜜」の教えを守ることは難しくても、
せめて彼岸の中日、真西に沈む夕陽を拝むことくらいはと思ったが・・・・これも忘れてしまっていた。
田舎の菩提寺は「福士山最恩寺」という小さな臨済宗のお寺だが、
室町時代の
応永年間(1394年から1427年)に創建されたといわれる由緒正しいお寺だ。
応永年間は一世一元の制(いっせいいちげんのせい:元号を君主(天皇)の在位中には変えない制度をいう)の中で最も長かったといわれている。
これは、歴史上稀に見る、平和の時間が長かったことを意味しているのだと思う。
このお寺、古くからの仏殿は中世の禅宗様式の特徴を残すもので、
国の重要文化財に指定されている。
禅宗様式(唐様式)とは鎌倉時代後期に日本に入ってきた中国の寺院建築様式であるが、
禅宗様建築は、
①柱の上端をすぼませる(ちまきという)、
②柱の下に礎盤を置く(そろばんの玉を大きくしたような形の部材)、
③上部に複雑な曲線の付いた花頭窓(火灯曲線または、花頭曲線による窓)がある、
④弓欄間(弓形の組子を竪に打ち並べたもの)
⑤扇垂木(放射状の垂木)
⑥海老虹梁 (海老の背のように湾曲した梁)
⑦詰組(組み物を、柱の上だけでなく柱間にも置いて、密に配する形式)
等の特徴がある。
最も、注目したい特徴は、大仏様と同じで、貫(ぬき)構造を採用し、発展させている点である。
ここでいう貫工法は神社の鳥居のような工法で、
真壁などの一般的な貫工法に使われる薄い板状のものとは異なり、「挿し梁」に近い。
禅宗様の貫は「腰貫」「飛貫」「頭貫」などがあり、
「頭貫」の上に台輪(水平方向の材)を使うことで、大仏様より、格段に堅固になり、
柱を細くすることが可能になったばかりか、台輪から上のデザインを自由にすることが可能となった。
これ以降、日本の家屋は、このシステムを簡単にした、「挿し鴨居等で、柱と強固に組み合わせて構造を強化する方法」がとられるようになったのだが、現在の木造建築には殆ど使われなくなってしまった。
実に残念だ。それにしても、このホッとするフォルムは日本人には馴染みやすい。
そして、大きな地震等を何度も乗り切ってきた歴史的建造物の多くがこの「挿し鴨居の方法」を備えていることを考えると、失ってきたものは大きい。
さて、挑戦する気満々だった「ぼた餅6個!」だが
今年は田舎の母が、ぼた餅を例年の1/3程度の量しか作っておらず、6個食べる目標も結局は達成できず・・・・
「できず仕舞い」のお彼岸だったが、ご先祖様達にお参りが出来たことで、なんとなく許されたかな?
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