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シロアリなんて怖くない(最終回)やっぱり怖いかも

実際のシロアリ
■今までは私の勝手なイメージで擬人化されていましたが、今回は本物のイエシロアリの職アリ。

前回、シロアリが極端に外部を嫌うため、戦前の日本家屋の基礎は割りと攻撃を受けにくかったと話した。

シロアリは外気に触れる空間では生活できないのだ!

シロアリの活動温度は12℃~30℃程度といわれ、
常に巣内や蟻道は温湿度とも活動に適した温度に保たれているといわれている。
シロアリは裸で生活しているようなものだから、蟻道は 言わば人間の衣服に近い存在だと考える。
彼らが床下で活動するのには 十分な時間をかけてでも蟻道を延長しなければならない。

だから、
(布基礎立ち上がり部分の外側に蟻道を作って土台まで登ってくることは
特別な条件が満たされない限り有り得ないと思うので、)
コンクリート土間からの侵入を防ぐことが、
現代の住宅をシロアリから守るために最も注意しなければならないことだと考えている。

そこで布基礎と立ち上がりとの間に内継ぎ目地を作らないために、一度にコンクリートを打設する方法として、

ベタ基礎を採用している。

ベタ基礎


こうすれば、打ち継ぎ部分がどこにも出来ないため、シロアリの攻撃は受けない事となる。

ベタ基礎にシロアリが近づいたときのイメージはこちらをクリック


但し、コンクリートにクラックなどが生じ、そこから進入する可能性もあるため、
私共の事務所では次の方法で、そのリスクを少なくしている。

・コンクリートを確実に平滑に打設するために、基礎下の砕石の変わりに捨てコンを100mm以上打設して
 基礎下の状況を完璧なものとしておく。

・水の少ない硬い生コンを使用する。

・単位水量170kg/m3、水セメント比50%以下、スランプ15cm以下の硬い生コンをバイブレーターで液状化させながら
 密実に充てんし、固まりかけた時に再度バイブレーターや「たたき」を行い、水や空気を極力追い出す。

・型枠を外した後も 養生をして水の蒸発を防ぐ様にするなど、基礎のコンクリートの品質監理に
 極力気をつけるようにすれば、殆どクラックは生じない。

・建物の完成後は 基礎の周りにものを密着させて置かない様に気をつける。

・床下点検口や床下収納等をつけ、定期的に床下に入れるようにして、

・半年に一度程度はクラックの有無なども含めて 床下に潜って確認するようにする。

こうしておけば通常問題は生じにくい。

そして、5年に一度程度は シロアリ専門業者による点検をあわせて行えば万全だと思う。

(断熱仕様の基礎については、個別性が高いので、ブログでは触れられません。)

シロアリなんて怖くない(3)で掲載した基礎と同じかも?
と思った人は 一刻も早く点検し対策を考えた方が無難だと思う。

シロアリにやられていないのは、偶然シロアリがいなかっただけで、
これから先、シロアリが近くにやってきたら必ず、彼らの襲撃を受けることになるだろう。

今回、害虫としてシロアリを特集したが、シロアリは元々、人類にとっても貴重な蛋白源であったと思う。
なぜなら、野生のチンパンジーが道具を使っている最も有名な事例が、
蟻塚に棒を突っ込み、噛み付いてきたシロアリを吊り上げて食べる「釣り棒」である。
また、今でも中国の一部やタイでは シロアリの成虫(羽蟻)を食べる習慣があるように、
初期の人類が捕食していたことは明らかだ。

シロアリを焼いて食べる原人の親子
■シロアリを焼いて食べる原人の親子(シロアリは実際はこんなに大きくありませんイメージです)

いつの間にか、シロアリは完全に害虫としての評価しか受けないようになった。
また彼らやネズミを捕食することから「家の守り神」の存在であったヘビすらも 忌み嫌うようになり、
疎まれるようになり、現代人の住まいの近くからは姿を消した。

日本人は昔のように もっと自分の身の回りに気を遣うべきだと思う。

そして、彼らを目の仇にして、ただ嫌うのではなく、
共存していた時代の考えに少しでも戻り、逆に彼らの生態から学ぶべきだと思う。

もしかすると、大量の化石燃料を消費することで多大な負担をかけることしか出来ないワガママな地上の生物(人間)を、地球は地底人(シロアリ)を使って試しているのかも知れない。

そして、これ以上地球をいじめ過ぎると、今に本当に地球から嫌われ、罰を受けるような気がする。

その時は、シロアリたちが人間が作れなかった、「完璧な自然エネルギーによる空調システム」や
自らの体でセルロースを分解してバイオエタノールを作り、それをエネルギー源にした新たな「エコ文明」を
築くかも知れない。

サバンナの蟻塚の完璧な空調システム
熱帯の乾燥地にありながら、チムニー(煙突)効果と土の多孔質性を利用して、
蟻塚の中は、常に気温30℃以下で、湿度や臭いやガスなどの調整操作を可能にしている。

下等シロアリである日本のイエシロアリの空調システム
砂質地を利用した湿度調節の外にガス交換が容易なシステムが成され、
炭酸ガス濃度は0.5~6.5%の間を変動しており,温度も彼らの活動範囲である30℃以下に保たれている。
巣の壁には直径1~2mm、の小さな穴が多数明けられているが、おそらく、これは温湿度やガス交換のためと考えられる。
また、彼らは自らの力や腸内共生生物の酵素を利用し、
植物の主成分であるセルロースを分解し糖を作り出す技術をもっている。

無駄な電気は使わない

これらのシステムは、実は 人類が自分の文明を維持するために最も羨ましい最先端のエコ技術なのだ!!


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コメント

[C19]

こんばんは kikuguitarです
ベタ基礎で、立ち上がりとつなぎ目の無い作り方をするしかないのではと思っていましたが、私が描いていたイメージにかなり近かったです。
このコンクリートを流し込むための型作りは、かなり高度なノウハウが必要なのではないかと想像してます。
シロアリ被害もそうですが、シズオカEXブログさんの行っている基礎作りは、丈夫で地震にも強そうな感じがします。
記事を読んでる途中で、トルコの地底都市カッパドキアを思い起こしました。
シロアリの空調システムや湿度管理などと、なにか似通ってるように思ったりもしましたが、どんなものなんでしょうね。
色々と勉強させていただきありがとうございます。
今後もどんな記事をアップされるのか楽しみです!

[C20] シロアリ最終回

▼kikuguitar 様

カッパドキア、そうなんです!

割と空気の乾燥している地域では自然空調システムは成功できるのだと思います。
その点、北海道はいいですね~。
寒い地域か、暑い地域か限定されると自然空調は可能になるのですが、
暑い寒い両方がある関東から西、九州までは難しいですね。 

環境共生、自分も含めて間違いだらけなのかも知れないから、
思うことをなるべくブログでオープンにして、皆さんの意見を聞きたいと思いますので、

これからも宜しくお願いします。

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