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十三夜 夢幻

十三夜


一昨日は十三夜。

ふと気がついたときには時計は8時をとっくに過ぎて、9時近くなっていた。
昔から、十五夜の月を見て、十三夜の月を見ないのは、「片見月」といって嫌われるので、とりあえず、外に出てお月見と思ったのだが、出てみて、びっくり。
月は完全に真上に昇ってしまっていた。

十三夜の月は、栗や豆を供えることが多いため「栗名月」又は「豆名月」とも呼ばれる。
前にも書いたが
十五夜の月を鑑賞する習慣は中国から伝わったが、十三夜の月見は日本独特の風習であり、平安時代に貴族たちが集まって、月を見て詩歌を詠んだのが始まりといわれる。
そこで、ふと、思う。
こんなに高くに昇ってしまうと歌会(宴会?)は終わりなのでは?・・・
今回のお月見は季節的に遅れた月見だが、早い時だってある。
早い時は今年の十五夜の時期と同じ位の時もある。
そう考えれば今より、月の高度はまったく違う。
頭の中がどんどん平安人化して、くるくる回りだす。

今年のように遅い時期は月が薄っすらと見える頃(午後4時半)から宴会の余興を始めればいい。
日本人は平安の昔から花見や月見だと言っては、それに託けて、宴会をしたい人種である。
これは、自らの性格とその周りに集まる人々、そして、経験より実感している。
月待ち宴会1時間、歌会1時間、本宴会3時間といったところであろう。
そして、月が天の真上に昇る9時頃、この宴会はお開きとなる。
遅くまで、騒ぐのは体に悪いので、昔も今も控えるべきだ。

ところで、

(多分、聞くとびっくりするだろうが・・・)

平安時代の人たちは想像以上に早起きだった

その早起きは私の比ではない。
彼らの一日は、午前3時ごろから始まるらしい。
権謀呪策が飛び交う恐ろしい世界。夜は、物の怪がはびこる全くの暗闇の世界だったため、権力者であれば在るほど、なるべく早く起きたかったのではないか。
彼らにとって、天気がよく、月が出た夜はほんとにありがたいものだったのだろう。
月明かりが、不安を取り除き、安らかな眠りにつかせてくれた。

都会に住む人や現在しか知らない人たちには想像もつかないだろうが、
本当の「弩田舎」で育った私には、
月の出ない日、全く光のない夜道をびくびくしながら歩いた経験がある。
今頃からの朝の真っ暗な中での散歩でも、少しは平安人の気持ちがわかる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夏は夜。
月のころはさらなり。
やみもなほ、ほたるの多く飛びちがひたる。
また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。
雨など降るもをかし。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
と変わったことを言う人もいるが。

平安貴族の一日は

まず起きると、北斗七星の中の星の中にある自分の生まれ年に相当する星の名前(属星、しょくせい)を小さい声で7回唱えることから始まる。
  その時、決して大声を出してはいけない。

次に、鏡を見て自分の顔を確かめる。
  呪詛をかけられていないか確かめるためである。
  呪詛でないが、現在人も必ず同じことをするのは、昔からの、の習慣なのだろう。

それから、暦を見て本日の吉凶を調べる。  
  これは今でも年配の方はやっている。
  特に新しいことをしたり、新しいものをおろしたりする時には「吉日」を選ぶ。

そして、洗面を済ませた後、仏名を唱えて自分の崇拝する神社を拝む。

全てが自然や神仏によって、さまざまな制約を受けていた。
こうした決まりは、日々の細かな生活から、年に幾度か行われる行事に至るまで、
すべてに徹底的に浸透していたのである。

それから、軽い朝食を摂り、宮廷へ出仕する。

その時刻は、夏は午前4時半位、冬午前7時頃
退庁時刻は、夏は午前9時半頃、冬は午前11時半頃
といわれている。

この時間、次第に夜へと移行する傾向にあったともいわれているが、
だとしたら
「枕草子」で書かれている、

「春はあけぼの。やうやう白くなり行く山ぎは少しあかりて、
紫だちたる雲の細くたなびきたる。」 
「冬はつとめて・・・・・昼になりて・・・・・」
とはいったい何時頃なのだ?

こんなことだから、紫式部によって、「清少納言はだらしない」と批判されたのだ。

だが、私が想像していたのとは、まったく違う次元での比較だったと思うと、、、
現代人のほうがずっとだらしないではないか。

平安貴族ほどではないが、早起きな私の朝は、この時期、4時30分から始まる。

身支度を整え、5時少し前には散歩に出かける。
未だ、北斗七星カシオペア座など、星がきれいに見える時間だ。

折り返しの田園地帯を東に向かって進む。
5時30分頃、東の空の色が変わり始める。
そして、「明けの明星」だけが名残惜しそうに光っている。

明けの明星


(ご存知の通り)この明けの明星は、「宵の明星」とも呼ばれる「金星」のこと。

金星は二酸化炭素を主成分とし、わずかに窒素を含む大気が存在する。
そして、膨大な量の二酸化炭素によって温室効果が生じ、地表温度の平均で400℃、上限では 500℃に達するといわれている。
これは、太陽に最も近い水星の表面温度よりも高くなっている。
まさに温室効果ガスの働きである。

太陽系内では大きさと平均密度が最も地球に近い惑星であるため、
「地球の姉妹惑星」と表現されている。

「金星も地球もかつてはほとんど同じような大気から成りたっていた」という説もあるらしい。

どちらも現在の金星に似た濃厚な二酸化炭素の大気を持っていた。
しかし、惑星の形成段階が終わりに近づき、大気が冷却されてきたとき、地球では海が形成されたため、そこに二酸化炭素が溶け込んだ。
二酸化炭素はさらに炭酸塩として岩石に組み込まれ、地球大気中から二酸化炭素が取り除かれた。
逆に金星では海が形成されなかった。もしくは、形成されたとしてもその後に蒸発し消滅した。
そのため大気中の二酸化炭素が取り除かれず、現在のような大気になったという。

こういう話を聞くと、
平安時代の人のように、神や自然に対して異常な恐れを抱くことは、間違っているのだろうか?
非科学的なものを否定し、今でも自然を手中に治めようと日々研究を続けている現在人は正しいのか?

疑問を持ってしまう。

明けの明星といえば、
小学生3年生の頃、学校で友達に笑われた思い出がある。

ある授業の時、
「明けの明星、宵の明星といわれている金星は明け方にはどちらの空にあるでしょうか」
という先生の質問に対して、
めいっぱい自慢気に上げた私の手を見逃さなかった先生が、珍しく指してくれた。
指された私は勝ち誇ったように
「西の空です!」と答えた。
先生は黙ったまま、もう一人を指名した。

「東の空です。」と答えた。

「はい。正解です。」
と先生はその子に言って、大きな地図のような星の絵を見せて説明し始めた。

納得いかない私は先生に
「テレビでそう言ったんだ!!」と、しきりに説明したが、取り合ってもらえず、みんなに笑われた上、うそつきとまで言われた。

多勢に無勢、加えて先生までいれば、悔しい思いを飲み込むことしか出来なかった。

勿論、私の間違いは明白だ。
でも、
私は嘘はついていない! 

当時の私の憧れ=ウルトラセブンのモロボシ・ダンが
「西の空に明けの明星が輝く」と、確かに言った。感動の最終回に・・・。

その後、大学1年の時に再再放送のウルトラセブンを毎日見る機会に恵まれた。

問題の最終回。

シューマンのピアノ協奏曲第一番、第一楽章の激しい音に載って、まるで影絵のような幻想的な夜景の中、ダンがアンヌ隊員(女性)に全てを告白する、悲しくロマンチックなシーン。

小学3年生の私にとっては、初めて見る大人の男と女の切ない別れのシーンだった。
当時の幼い私にも、二人が愛し合っていることは十分に理解できた。

その瞬間、頭の中でスローモーションのように昔のことが蘇った。

・・・そしてみんなに笑われ泣きながら訴える自分の姿・・・
無意識のうちに拳をぎゅっと握っていた。

シューマンの音楽の中
・・・・
「なぜ逃げたりしたの?」

「僕は・・・僕は人間じゃないんだよ。M78星雲からきたウルトラセブンなんだ! びっくりしただろう?」

「人間であろうと宇宙人であろうとダンはダンに代わりはないじゃないの!たとえウルトラセブンでも。」

「ありがとうアンヌ・・・・。今話したとおり僕はM78星雲に帰らなければならないんだ。
西の空に明けの明星の輝く頃、一つの光が宇宙に飛んでいく。それがぼくなんだよ!
・・・さようなら。アンヌ。」


「待ってダン!行かないで!」

「天城隊員がピンチなんだよ!」

そう言ってアンヌ隊員を振り切ったダンは、ウルトラセブンに変身し、火山の中に消えて行く。
傷だらけになりながらも、天城隊員を助け、宇宙人と怪獣を倒したウルトラセブンは
西の空に輝く星に向かって、一つの光となって宇宙空間に消えていった。


やっぱり、ダンは「西の空に明けの明星が輝く」と言っていた。
あの悔しかった気持がスーッと消えていった時の、何ともいえない感覚を今でも覚えている。



でも、今考えても本当に不思議だ。
なぜ「西の空」になったのか?

ウルトラセブンは元々太陽エネルギーが源であり、地球の大気に削られた太陽エネルギーでは長時間戦えない体なのだ。
東の空に向かって飛べば、太陽エネルギーを十分吸収することも可能な上、わざわざ、間違えた知識を感受性が強く、学習吸収能力の高い少年達に教えることもなかったのに・・・
「太陽エネルギーをエネルギー源とする宇宙人」に対しては、なんだか不思議に違和感がない。
そうか!
私達の身近にもいる。
植物がそうなんだ。
それを食べる人間を含む動物も間接的にはそうだ。
地球上の生物は全て太陽の子なんだ。とあらためて実感する。

ウルトラの星(光の国)は、もともと「M87星雲」という設定であったが、脚本印刷時に「M78星雲」と誤植され、それがそのまま放映された。

それを知っていれば・・・・。
(ダンの言った言葉を鵜呑みにしたりしなかったのに)

ちなみに、M87星雲は おとめ座にある楕円銀河。
地球から5480万光年離れた位置にある。
中心部からスペシウム光線(ウルトラマンの必殺技)=ジェット(プラズマガスなどが一方向又は双方向に噴出する現象)を噴き出している活動銀河で、中心核にはブラックホールがあると考えられている。
ウルトラマンが企画された時代には、このようなジェットを噴出する活動銀河のメカニズムとして大質量ブラックホールを考える説はまだ知られておらず、反物質世界へとつながるワームホール(時空のある一点から別の離れた一点へと直結する空間領域でトンネルのような抜け道)ではないかという仮説があった。
この仮説が「光の国」の原型となったとも言われている。

現実のM78は、オリオン座にある暗黒星雲
地球から1600光年離れた位置にある。

「知らなかった方が夢が広がる。」というのは、本当によくある話だ。

暗闇から朝焼けに進むこの時間、大地の気を浴びて、散歩していると、自然や非科学的な存在への恐れや敬意がどんどん膨らんでくる。
まるで、平安人のように・・・・

そうか!!

傷ついて弱ったものや、浄化されるものは、西の空に消えていく。
そして、東の空から上る太陽は、はるか昔から、生きる生命全てに希望を与えて、新たな生命も東からあらわれる
だから、ウルトラセブンが帰って行く方向は、西の空でなければならなかったのだ。

ウルトラセブンの去った西の空ではなく、東の空からは新たな希望の太陽が表れる。
これは製作者からの子供たちへの続編のメッセージだったのかもしれない。


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今年は十三夜の月を逃していたので、
写真を拝見できて嬉しかったです。
来年は見逃さないようにしようと思います。

[C8] ▼ショウゴ様へ

コメントありがとうございます。

ヘタな写真で申し訳ありません。

ショウゴ様の美しい写真と優しい文章で構成されたブログ、毎日楽しみにしております。
これからも宜しくお願いいたします。

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