
手前味噌(こちらは糠味噌)の話からです。糠は山梨の実家で、
減農薬(なぜ好条件下で、
無農薬栽培を行わないかは、また後日)で作られた粉糠を使用しています。実家の中山間地域での米作りは千枚田のような小さな田んぼで作られます。田んぼに入ってくる水は飲めるほどにきれいで冷たく、収穫量は決して多くありません。しかし、そんなところで育った米は田んぼに流す水自身が有機肥料のように富栄養な平地の米とは比べ物にならないくらい美味しいものです。
糠漬けですが、今年で3年目になります。元々は知り合いの糠床屋の
ぬかどっこ(静岡市)さんから購入したものです。3年間のうちに何度も実家の糠を足したので、今は殆ど我家の糠床になっています。
糠味噌をはじめた頃は、糠の表面に白い幕が出る度に、白い部分を取り去っていました。
しかし、
①糠床の乳酸菌は、糠にいるのではなくて、野菜の表面についているもので、糠は、あくまで、餌で、野菜の表面についている乳酸菌が増殖するらしいこと。
②糠床に野菜を入れると、糠の内部で、乳酸菌が増殖すると同時に、空気に触れている表面では、「産膜酵母」なる白い幕ができ、空気がない底には、「酪酸菌(宮入菌)」ができること。
③糠床の乳酸菌自体は、繁殖するのに、空気は不要なこと。
がわかりました。
手を入れて掻き回す作業は、実は乳酸菌を増やすためではなく、乳酸菌を増殖する過程でできてしまった糠床表面の好気性の産膜酵母を空気のない底に押し込め、嫌気性の酪酸菌を含んでいる糠を、表面に持ってきて、両方をブレンドすることにより、好条件下で、お互いを増やさないようにするためだったのです。
どちらも増えすぎると、嫌な匂いを発生させるからです。
産膜酵母:そのまま、空気があるところで増殖させた場合は、シンナー臭
酪酸菌:空気のないところで増殖させるとムレた靴下のような臭い
つまり、初心者の頃せっせと捨てていた白い幕は、糠床に混ぜ込んだ方がかえって美味しい味になるということです。しかし、糠には旨みとなる産膜酵母も、ワインや日本酒作りには、アセトインやアセトアルデヒドを増加させ、風味を落す汚染菌として位置付けられているそうです。

毎日、夕飯にはかかせなくなった我が家の糠漬、遥か昔からの先人によるバイオ科学の産物だったのです。
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